さて、ひと月ぶりに相撲の話を。
あれは横綱朝青龍が土俵の上で(文字通り)大暴れし、「ロボコップ」と呼ばれた高見盛がユニークな所作で人気を博していた約20年前のこと。
両国国技館の売店に、ある意味大相撲史を揺るがす商品が誕生しました。
その名もずばり、「朝青龍弁当」と「高見盛弁当」。
それまで良くも悪くも「昔ながら」の幕の内弁当系しかなかった中、現役力士本人から直接「食の好み」を聞き出し、彼らの好物だけでオリジナル弁当を作っちゃおう!という、当時の相撲協会からするとかなり「攻めた」企画(ちなみに今ではすっかり国技館の売店は「レジャーランド」化しており、隔世の感があります)。
朝青龍弁当はジンギスカンにモンゴル産の塩を使った野菜の塩ゆで、高見盛弁当は出身地の青森県産のお米や野菜、りんごなどがふんだんに採り入れられた内容に。とはいえ、キャラの濃い2人の意見を取り入れた商品開発はきっと大変だったことでしょう・・・。
その後も、横綱・大関が誕生するたびに新たな「力士弁当」が次々に登場(その意味では最初に平幕の高見盛が起用されたという点に、彼の人気ぶりがうかがえます)しますが、出身地縛り、本人の好み縛り、ということもあり、中身の当たりはずれは多々あり。
推しの力士と弁当のおいしさが必ずしも一致しないジレンマ、引退・降格すると翌場所には即撤去される悲哀、人気力士は即売れなのにそこまででない力士は午後も山積みで売れ残る残酷さ・・・当時様々なドラマが、小さな売店でひっそりと渦巻いていました。その後残念ながらコロナ禍で販売休止に。今年久しぶりに待望の新作「照ノ富士弁当」(メインは牛カルビ焼肉)で復活しています。
ちなみに自分的歴代ナンバー1は「琴奨菊プロデュース 万理一空」。
大関・琴奨菊(現・秀ノ山親方)は食どころの福岡出身だけに、九州産うなぎや博多明太子、有明産の海苔佃煮、そして福岡の地元料理「がめ煮」など、郷土色豊かな食材揃いで美味でした。
一部情報によると、先日行われた親方の断髪式で限定復活していたとか。ぜひいつか、国技館でもリバイバルを・・・!