峠の釜めし。
鉄道マニアでなくても、一度はその名を聞いたことがあるであろう、おそらく日本一有名な「駅弁」(のひとつ)。
群馬県にある「荻野屋」さんが製造しているこちら、今では東京駅はじめデパ地下の催事などでも気軽に購入できるのですが、本家本元は信越本線の「横川」駅が「ご当所」です。
その「衝撃的」なデビューは今から約半世紀以上前の、1958年。当時としては「食べるときに、温かい」駅弁というのは初めてのこと。最近でこそお肉系の駅弁で紐を引っ張ると温かくなる仕様もありますが、駅弁=冷たいが常識だった当時としては実に画期的な取り組みだったことでしょう。これは駅の近くで「作りたて」を提供できたからこそ、と言われています。
そしてもうひとつ。その容器がいわゆる「折詰」でなく、本物の益子焼の陶器でできていること。昭和の時代にはこれがお土産のひとつとして、自宅にもってかえる旅行客も多かったと言われています。そして今なお、峠の釜めしは当時と変わらぬ陶器のまま販売されているのも、すごいところです。
さて、そんな峠の釜めしにも近年、時代の変化が。
10年ほど前から、軽量な「パルプモールド容器」での販売も同時展開されるように。往年のファンとしては「あの陶器がもう見られなくなる?」と一時やきもきさせられましたが、並行して販売されるとのことで、ほっと一安心。
陶器が重い、捨てずらいなどの声に対応した策で、陶器のときと変わらぬ味わい、しかも電子レンジでの加熱にも対応するとのことで、なかなか好評です。こういった「新旧併用策」というのは、みんなが幸せなので、ぜひいろんな鉄道関連でも採用してほしいものですね(もちろん、荻野屋さんの企業努力が並々ならぬゆえ、ですが)。
さて、肝心の中身はというと・・・。
昔から変わらぬ、やさしい醤油ベースの炊き込みご飯と、たっぷりの具材。
何度食べても飽きの来ない味わいに、定番として長く愛される理由が込められていますね。
さて、この釜めし容器、実は持って帰ってからちゃんと「再利用」、というより、普通に日常生活で「使う」ことができます。
そのハナシの続きは、明日の【後編】にて。