横浜駅の中には「横浜駅記憶の散歩道」と冠した、過去の写真や資料を壁面展示しているスペースがあります。全国の駅にこういう展示はよく見かけられますが、歴史的にも規模的にも重厚な横浜駅ならではというか、なかなかに「魅せる」展示が面白く、つい通るたびに立ち止まって眺めてしまいます。
その中でも特に目に留まったのが、写真の「駅の記憶」。
初代、二代目、三代目・・・と過去の駅舎の古い写真が掲示されていますが、特に気になったのがレンガ造りの「二代目」。東京駅の駅舎を彷彿とさせる大正ロマンあふれるデザインですが、実際に使用されたのはわずか「8年」のみとのこと。その短命の原因になったのはまさに100年前の今日、1923年9月1日に発生した関東大震災でした。この未曽有の災害により二代目横浜駅舎も全焼、美しいモダンな駅舎は外壁をわずかに残すのみで、しばらくはトタン屋根での営業を余儀なくされたそうです。
今も高島町駅近くにはその遺構が残っており、煤けた煉瓦壁とともに、静かに往時の記憶を今に伝えています。