気がつけばもう11月。そして11月と言えば、「一年納めの九州場所」の季節です。
年間6場所で計90日間開催される大相撲。その一年最後の15日間、実は優勝争いの陰でひとつの賞レースが繰り広げられるのをご存知でしょうか。
それが「年間最多勝」。
番付(出世)には特に影響しないため、実際に相撲をとる力士の間ではそこまで重要視されない(一応、金一封は出るそうです)印象ですが、やはり「一年間で誰が一番勝ったのか?」=「今年の最強は誰だったのか?」は単純にファンの興味をそそります。
歴代最多勝は横綱白鵬の86勝4敗。しかも2010、2011年と2年連続でという、当時はまさに異次元の強さでした。
一方でワースト記録は2019年朝乃山の55勝35敗。ちなみにその後は2017年白鵬56勝、2018年栃ノ心57勝と続き、年間で1人勝ちできる力士が少ない最近の「戦国時代」を象徴するかのようです。
そして、今からちょうど30年前の11月。
ある若手力士が、当時の年間最多勝のワースト記録(60勝)を更新して話題になりました。
彼の名は、貴花田。
のちの大横綱・貴乃花ですが、ワーストとは言え、達成当時はなんと「19歳5カ月」! 今も破られていない、年間最多勝の最年少記録です。
そして2年後の九州場所、前場所から怒涛の「30連勝」で横綱昇進。当然、その年は80勝10敗で2年ぶり2回目の年間最多勝に輝きました。
白い「綱」を締めたその佇まいは、まさに「絵に描いたよう」な理想の美しさだと称賛され、今なお語り草となっています。
ちなみに今年の年間最多勝レースは現時点で、今最も勢いに乗る注目力士、若隆景の49勝。
残り15日間ですんなり逃げ切るか、それとも・・・?