古い駅舎が好きだ。
といっても今の東京駅のように「歴史的価値、どーん!」といった感じではなく、どちらかと言えば土地の人や風景に寄り添いながら、静かに佇んでいるような「旅情感のある」駅舎。
初めて訪れるのになぜか懐かしさを感じさせる、そんな駅舎に出逢うと、「ああ、次に来たときもそのまま変わらないでいてほしいなあ・・・」と一抹の不安とともに、(勝手な)淡い期待を抱いてしまいます。
ここ10年で、その不安は見事に的中し、自分的に好きだったそんな駅舎が次々と近代的な駅ビルに生まれ変わっていきました。特に北の駅。青森、函館、稚内・・・みんな新しいピカピカの駅舎になり、「きっと沿線に住む人にとってはすごく便利で綺麗になって、良いことのほうが多いんだよな」「たまにしか利用しない自分が変わらないでなんて言えた義理じゃないよな」と頭ではわかっていても・・・。。。やっぱりちょっと切なく感じてしまうのが正直な気持ち。
と、前置きが長くなったのですが、絶滅危惧種とは言え、全国にはまだまだ現役で頑張る駅舎たちも少なくありません。
そして自分の中ではトップ5に入る(首都圏に限って言えば間違いなくナンバー1の)「旅情感のある」駅舎がこちら。
JR東海道本線の「根府川(ねぶかわ)」駅。
木造で瓦屋根という外観もめちゃくちゃいいのですが、駅舎からホームに至る「跨線橋」もたまらなく好きなんです。
その跨線橋を降りたホームからは、太平洋の雄大な水平線が。
そして少し駅から離れ、小高い場所まで行くと、東海道本線が通る白糸川橋梁の「赤」と海や空の「青」、そして木々の「緑」のコントラストが完璧な、まさに「絶景」を望むことができます。
場所的には、各駅停車で「熱海」の少し手前。
ほんのちょっと、電車に時間に余裕があったときは、ぜひ「途中下車」をお薦めしたい、そんな駅舎です。