相撲部屋と言えば、大勢の力士たちが稽古に励み、大部屋で寝食をともにする、賑やかなイメージを思い浮かべる方も多いことでしょう。
ではありますが、44もある相撲部屋の中には、必ずしもそんなパブリックイメージ通りとはいかない部屋もありまして。
本日訪れたのは、こちらの「錦戸部屋(にしきどべや)」。
平成初期、大相撲が空前の「若貴」ブームに沸いていた時代、「大量の塩まき」で人気を博した元関脇・水戸泉(みといずみ)の10代錦戸が、2002年に独立して興した相撲部屋。看板はその当時の後援者の有志から贈られたものとのことです。残念ながら今回、揮毫者までははっきりわかりませんでした。
錦戸部屋は波乱万丈の歴史を経て創設から約20年。今は、幕内の水戸龍(みとりゅう)だけが番付に残る所属力士(素質は充分なのに、のんびりした性格ゆえ伸び悩んでいる・・・とも。)、と言われています。そして先日、その錦戸部屋に中卒のホープ、中村謙信さんの入門(四股名は「葛錦(かつにしき)」に決定)が発表され、角界ではいろいろな意味で注目を集めている存在です。
稽古の問題など少人数部屋の是非はありますが、今は相撲部屋も変革の時代。
モンゴル生まれの心優しき関取・水戸龍と、15歳の少年力士・葛錦。この春から始まるであろう、ふたりの兄弟弟子の新たな挑戦にどうか幸あれ、と願ってやみません。
相撲部屋「看板」紀行
其の6 錦戸部屋(東京・両国)
マンションの入り口に、木製の看板と扉があるだけのシンプルな外観なので、初見では気づかず通り過ぎてしまうこと必至な「見つけづらい相撲部屋」の筆頭格。部屋にはもう1人親方がいるため数のうえでは「親方2人と弟子1人」という珍しい状態でしたが、葛錦入門で春からはマンツーマン体制に・・・?