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近年稀にみる「傑作」を見つけたり。~相撲部屋「看板」紀行 其の10 片男波部屋

アバター画像2023.05.15 12:00

 相撲部屋の伝統のひとつに「弟子の四股名に共通の文字を入れる」、というものがあります。

 その場合、師匠の現役時代の四股名から一文字拝借するケース、あるいは部屋の名前からもってくるケース、いずれかのパターンが多いのですが(もちろん、こだわらずにバラバラ…という部屋も)、部屋の創設以降、師匠が替わってもある「一文字」を継承し続けている部屋があります。

 それが今回ご紹介する、片男波部屋(かたおなみべや)の「玉」。

 部屋を創設した師匠は、元関脇・玉乃海の12代片男波。弟子には後の横綱・玉の海がいましたが現役時代に急逝。片男波部屋の後継者は、同じく弟子の元関脇・玉乃富士に。その13代片男波が育てたのが、現師匠を務める元関脇・玉春日・・・というふうに、1962年の部屋設立以来、足掛け60年にわたり師弟3代で「玉」の伝統を守り続けています。当代の14代片男波はまだ若く、部屋の4代目を考えるにはまだ早いのですが、モンゴル出身の関脇・玉鷲をはじめ、小規模ながらも実力ある力士を着実に育成しているのできっと候補者に不足はないでしょう。

 さて、伝統ある「玉」の一文字と部屋を継承した現師匠が、2010年の就任後に「変えたもの」が、ひとつだけありました。

 それがこの「看板」。

 武骨で「男」っぽい、そして荒「波」をも連想させる雄々しさあふれる毛筆書体なので、さぞ名のある方が・・・と思っていたら、やはり。新潟県出身の書道家、桑原正明氏による揮毫で、師匠との繋がりは不明ですが、数ある相撲部屋の看板の中でも非常にバランス良く格調高い部類に入るのではないでしょうか。

 近くで見ると、繊細な毛筆書体にもかかわらず、ちゃんと「彫って」いるのもポイントが高いです。詳細は不明ですが、文字の中もごつごつした立体感でコーティングのような感じになっており、意匠に細部へのこだわりが感じられます。揮毫した桑原氏もさることながら、この看板を制作した方の仕事ぶりにも脱帽です。

 これは近年新たに制作された相撲部屋看板の中ではかなりの「傑作」と言えるのではないか。

 個人的にこういう王道が、めちゃくちゃ好きというもありつつ。

相撲部屋「看板」紀行
其の10 片男波部屋(東京・両国)
当代片男波は現役時代から非常に実直で穏やかそうな雰囲気の方ですが、創設者の12代片男波は、部屋を創設するにあたり脱走同然で独立に奔走するなどなかなか破天荒な人物とも。幕下時代に憲兵を叩きのめした、戦時中はガダルカナル島など東南アジアの飢餓地獄から生還・・・など、昭和の力士らしいエピソード満載。酒豪としても有名で、看板の雄々しさもある意味「伝統」かも。

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日々徒然に、書いていけたらと思います。

好きなものは鉄道(乗り鉄)と大相撲、ときどき料理です。
宜しければリュクスな立ち話の寄り道にぜひ。

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