古書の街、神保町が今、ものすごい勢いで変わり始めている――。
渋谷のように新しいビルがニョキニョキ建つような目に見える劇的な変化ではないが、昭和からある古い味わい深い店が次々と姿を消し、じわじわと確実に、街の雰囲気も変わってきています。昔足繁く通った古本屋も、その道すがらふらり立ち寄った純喫茶も、いつの間にか、あっという間に姿を消してしまいました。
1953年創業の音楽喫茶「ミロンガ ヌオーバ」も、そのひとつ。
古いレコードが居並ぶ店内には、お店の特徴であるアルゼンチンタンゴがBGMでかかり、何とも言えない味わい深さがあったのですが、久しぶりに立ち寄ると(まだ外観はそのままでしたが)、看板はすでに黒く覆われており。。。
ああ、ミロンガも時代の波には抗えなかったか・・・・と、いくばくかの寂寥感とともに狭い路地を出ると、、
なんと、新店舗が!
すぐ近くに移転しておりました。後で調べたところ、旧ミロンガの空間がもたらす雰囲気をできるだけそのまま残そうと、テーブルから椅子、照明、スピーカーなど出来る限りそのまま持ってきたそう。そして実はこの移転先、ミロンガの姉妹店であるラドリオ(1949年創業)がかつて使っていた場所を一部再利用するかたちになっており、壁を剥がしたら当時の煉瓦(!)が出てきてそのまま再利用したのだとか。
これはなかなか新しい展開です。レプリカではなく、ここまで「本気度」ある再現を果たすことができたのは、やはり歴史あるお店への愛情ゆえでしょう。
さすがにあの創業70年の重み感じる味わいには及ばないものの、そのDNAはしっかりと感じられる雰囲気あふれる佇まい。また折りに触れ、訪れてみたいと思います。