令和五年名古屋場所、史上初の「三者同時大関昇進なるか？」に挑む３関脇ですが、その中でも個人的に「この一年で信じられないスピードで強くなってきた！」というカタルシスを一番感じるのが、関脇・若元春（わかもとはる）関です。
福島県出身の29歳。兄は幕下・若隆元、弟は昨年の幕内最多勝力士で現在は怪我のため番付を落としている若隆景。歴史好きの方はこの三兄弟の名前を聞いてピンときたかもしれませんが、戦国大名・毛利元就の子供たち、あの「三本の矢」の逸話でおなじみの毛利隆元・元春・隆景から四股名がつけられています。また祖父は元小結・若葉山、父は元幕下・若信夫と、豊昇龍に負けず劣らずのサラブレッド力士です。
さて若元春ですが、去年までは大関候補筆頭をひた走っていた弟・若隆景の陰に隠れるかたちで、本人もどちらというとのんびりした性格ということもあり、玄人好みではあるものの三役まではまだ時期尚早・・・と思われていたら、ここ数場所であれよあれよという間に大関候補にまで！ 大相撲の世界では、最近の伯桜鵬や大の里のように入門時から期待され、その期待通りに地位を上げていくある意味「既定路線」をしっかりと進むタイプだけでなく、彼のように「寝て起きるたびに強くなっている」成長を見せる力士が稀にあらわれ、混沌としてどちらかというと若手のどんぐりの背比べ状態だった中では一気に成長曲線を描いてきた、相撲ファンとしてはまさにカタルシス満点中の力士なのです。
かくいう【羽】も今、一番の「推し」力士。ぜひ、豊昇龍・大栄翔とともに大関昇進を果たし、そして怪我を治してきっと復活してくるであろう弟・若隆景との「兄弟大関」を実現してほしいと、切に願ってやみません。
