日本各地で寝台列車が当たり前のように走っていたころ、まさかこんなにあっけなく、一気に消えていってしまうとは想像もしていませんでした。
大学生になり、初めてひとりで「B寝台」に乗ったときのこと。
車両のドアを開けると、そこには二段、あるいは三段のベッドがずらりと並んでおり、わずかに布のカーテンで仕切られただけの、今では考えられないような空間。
缶ビールとつまみを買い込み、Tシャツに着替えてベッドで寛いでいても、仕切りはカーテン1枚なので、「もし向かいのベッドのおじさんが急に話しかけてきたらどう対応しよう・・・」などとなんとなく落ち着かないソワソワした気持ちだったなあ、と思い出したりします。あの頃よりずっとふてぶてしくいられるようになった(苦笑)今なら、もっと思いっきりあの空間を愉しめたのかもしれません。
お世辞にもラグジュアリーには程遠い場所でしたが、あの日のB寝台はたまらなくロマンチックで、リュクスだったように思います。いつの日か、どこかでまた。