大関・貴景勝（たかけいしょう）。その名が示す通り、元横綱・貴乃花が育てた令和の名大関。現在の師匠が常盤山親方（元小結・隆三杉）に替わって以降も、子供の頃からの憧れだった貴乃花の「貴」の字をその名に冠し続けています。周囲に「押し相撲だけでは横綱にはなれない」と言われながらも愚直に自分の相撲にこだわり続けるところや、満身創痍ながらもけして怪我を言い訳にしないところなど、その求道的な相撲への取り組み方をも受け継ぐ力士。
さて彼の四股名にある「景勝」とは、戦国武将の上杉景勝（かげかつ）から来ています。これは貴乃花の尊敬する武将が上杉謙信であり、その謙信の後継者である景勝のように「弟子にもその想いを継いでほしい」との願いが込められているとのこと。ちなみに最近下の名前を「光信」から本名の「貴信」に改名していますが、これは彼の父がまさに当時現役だった貴乃花から一字貰って名付けられた名前（ちなみに「信」は織田信長から）。生まれながらにして、偉大な横綱と戦国武将の名に縁があるという、なんとも出来すぎなぐらいに運命的なストーリーです。
残念ながら先月の大相撲名古屋場所は怪我のため全休、来場所はカド番となります。
令和の相撲界には珍しい、その名が示す通りの武士のような佇まいの力士。きっと彼ならかつての貴乃花のように苦難を乗り越え、そしていつか憧れの存在である師匠と同じ横綱昇進の夢を叶えてくれることと、いち相撲ファンとして信じてやみません。
