秘境駅、と聞くと地方のローカル線の専売特許かと思いきや、意外にも東京都内であってもそう呼ぶに相応しい郷愁誘う佇まいの駅舎がまだ残っています。
その中でもおそらく、都心から「一番近い」秘境駅と言ってもよいのが、JR山手線「田端駅」の南口改札です。
山手線のもつアーバンなパブリックイメージからは想像だにつかない、小さな駅舎。2008年にアトレがオープンしたことですっかり近代化した北口とは対照的に、ここ南口は周囲を住宅街に囲まれ日中でもひっそりとした雰囲気です。ちなみにこの南口を出たところにある坂は、新海誠監督の映画『天気の子』の舞台にもなっているので、ファンの方にとっては聖地のひとつとしても有名かもしれません。
この昭和レトロな駅舎もさることながら、個人的には改札前の雰囲気も好み。「ありがとうございました。」の書体がノスタルジー鉄の琴線に触れ、心揺さぶられる思いです。
山手線に乗っていると、用もないのにふと、途中下車したくなる不思議な駅舎。
再開発の計画などは自分が知る限りでは聞こえてこないですが、昨今の情勢をみると油断はできません。未踏の方はこの佇まいが残るうちに、ぜひ一度。