大相撲の象徴、両国国技館。周辺を含め、ちょっと前までは武骨な佇まいでしたが、駅前にはでっかいオーロラビジョンが立ち、入り口前にも電光掲示板が導入され、随分と近代化してきました。プロ野球やサッカーの競技場とまではいかないまでも、志向するところはわりとそこに近い。
いや、確かに時代を考えればそうなんだけど・・・せっかくの「国技」「相撲」なんだから、こうもうちょっと、江戸情緒というか、ねえ・・・と古参ファンとして勝手に忸怩たる思いではいたのですが、今年になって小さな変化が・・・。
国技館正面向かって左側のチケット売り場の窓口の上に、鮮やかな「錦絵」が！
どうやら今年の初場所から掲げられているようで、使用されているのは明治19年5月に発表された相撲錦絵、「勧進大相撲取組之図」（歌川國利・画）とのこと（月刊「相撲」2023年2月号より）。「勧進相撲（かんじんずもう）」とは戦国から江戸の時代にかけ、寺社の造営や修復の費用を捻出するために開催された相撲興行のことで、今のいわゆる「大相撲」興行の原点となった、とされています。時代とともに、数多くの「勧進相撲」の錦絵がつくられており、こちらもそのひとつ。まさに大相撲の伝統を示すに相応しいレイアウトではないでしょうか。
古参ファンの妄言と重々承知のうえで、「こういうのでいいんだよ・・・」と、心の中で呟いた次第です（笑）。
