洋服や靴、カバンを探すとき、必ず目にするのが「カラー名」。普通であれば、黒は「BLACK」、白は「WHITE」ですが、中にはひと味違った名前の付け方をするファッションブランドも少なくありません。英国生まれのニットウエアブランド「ジョンスメドレー(JOHN SMEDLEY)」もそのひとつ。知れば「なるほど!」と膝を打ち、明日誰かに教えたくなる・・・そんな彼らの独特で、ちょっとロマンチックな「色」の世界にご案内いたします。
そもそも「ジョンスメドレー」とは?
1784年の創業以来、世界最古とも言われる製造工場を擁する、英国のニットウェアブランド「JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)」。主に春夏には、シルクのような艶やかな光沢と、カシミアのようななめらかな肌触りで、かつてエリザベス1世が「門外不出」にしたとも伝わる「幻の綿」、シーアイランドコットンを主力素材に展開。一方、秋冬のニットウエアには、表面の毛足が長く美しい光沢を放ち、しなやかな弾力性で抜群のストレッチ性を誇る「羊毛の最高品質」、ニュージーランド産メリノウールを採用しています。今も職人の手作業で丁寧につくられており、原材料から完成までにはなんと1年もかかると言われる、まさに究極の「手仕事品」なのです。
【Case1】「食べ物や果物」からつけられたカラー名
さて問題です。こちらのニットの「カラー名」は何でしょう?
もちろん茶色だからといって、ただの「BROWN(ブラウン)」ではありません。
正解は、「COFFEEBEAN(コーヒー豆)」。
こんな風に、ジョンスメドレーには「食べ物」に由来するカラー名が多く見られます。
では、こちらの2つの色はどうでしょうか。
似た色ですがそれぞれ、ある「果物」の名前がつけられています。
正解は・・・
【A】は「ENGLISHPLUM」、【B】は「DEEPFIG」という名前がつけられています。
「PLUM」はすもも、「FIG」は無花果(イチジク)。「DEEPFIG」は熟した無花果という意味でしょうか。確かに【A】に比べて、ちょっとくすんだ風合いですよね。
では、こちらのカーディガンのカラー名「CANTALOUPE」とは、どんな果物でしょう?
正解は、マスクメロン。
そう聞くと、ちょっと美味しそうにも見えてきてしまいますね!
【Case2】「植物や花」からつけられたカラー名
果物と並んで多いのが、「植物や花」が由来のカラー名。
英国ブランドということもあって地元ならではの植物が採用されることも多く、上の写真の「WILDHEATHER」の「HEATHER(ヘザー)」は、英国の田舎では夏になると一面に綺麗な赤紫色の花を咲かせるツツジ科の植物。
ではこちらのカラー名「PAMPAS」は何の植物でしょうか?
ヒントは、秋になると日本でも見頃を迎える、河原などに生えるあの「草」の名前です。
正解は、「PAMPAS=すすき」。
ニットの風合いと、やさしい色合いが、まさしく秋の風物詩を見事に再現しています。
【Case3】「季節や景色」からつけられたカラー名
最後は、春夏秋冬の季節や、自然からイメージされた景色などからヒントを得て付けられているカラー名。
「食べ物」や「植物」と違って、あくまでイメージなので、ロマンチック度もあがります。
例えばこちら。
【A】は「WHITE」ではなく、「SNOWWHITE」、そして【B】は「YELLOW」ではなく、「SUMMERGOLD」。
雪のような白さや、夏の太陽のような煌めく黄金色からインスパイアされたと思われる、作り手側のこだわりが垣間見えるネーミングです。
それではこちらのグレー×ブラウンのパターンはどうでしょうか。
ブラウンのほうは「SOFTFAWN」で、FAWNは子鹿あるいは子鹿の毛を意味するので、おそらく「柔らかい子鹿の毛」を意味していると思われます。ではグレーのほうは・・・?
正解は、「MORNINGMIST」。
直訳すれば「朝の霧」で、やや霧がかって靄のようになった朝の景色からヒントを得たのでしょうか。
コットンやウールの染色にも並々ならぬこだわりを見せるジョンスメドレー。
袖を通したとき、熟練の職人たちがその名に込めたメッセージにふと、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。