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エリザベス女王が愛した名品たち~「英国王室御用達」の魅力。

アバター画像2022.09.20 11:30

 約70年の長きにわたり「QUEEN」として英国民に敬愛され、逝去後もその偉大な功績を讃える声がやまない英国女王、エリザベス2世。彼女が遺した「英国王室御用達」の名品たちもまた、彼女の物語同様、色褪せることなくこれからも未来の世代へと語り継がれることでしょう。今回はその永遠不滅の魅力に迫っていきたいと思います。

「英国王室御用達」とは何か。

 王室御用達(Royal Warrant/ロイヤルワラント)は世界の王室が公的に認める企業やブランドのこと。英国では現在、エリザベス2世を含む3人の王族認定者ごとに紋章が設定されています。服飾品だけでなく、食品や日用品まで多岐にわたるラインナップは5年ごとに更新され、品質が基準に満たないと任期中でも称号を取り消されてしまうほど厳格なもの。確かな品質が保証されるゆえ、その価値も非常に高いものなのです。

 ちなみにエリザベス2世認定は「By Appointment to HM The Queen」、その夫であるエジンバラ公(フィリップ殿下)は「By Appointment to HRH The Duke of Edinburgh」、息子であるチャールズ皇太子(現・チャールズ3世)は「By Appointment to HRH The Prince of Wales」と冠し、それぞれに紋章のデザインも異なります。ちなみにエリザベス2世の紋章にはライオンとユニコーンが描かれ、その下にはフランス語で『神と我が権利』と記されています。そして今後は、新たに皇太子となるウィリアム王子もここに加わることが予想されます。

左からそれぞれエリザベス女王、エジンバラ公、チャールズ皇太子(現チャールズ3世)認定の紋章。

女王が「愛用した」所縁の深いブランド3選。

 英国王室御用達に認定されたブランドの中でも、特にエリザベス女王(2世)との所縁の深い名品たち。その経緯からも、彼女が長きにわたり英国民の母として敬愛された理由の一旦が垣間見えるのではないでしょうか。

【FULTON/フルトン】~母から娘に受け継がれた想い。

「鳥かご」の名を冠した女性用傘の名品「Bridcage」
近年は鮮やかな色柄やコラボなども多彩に展開

 1956年、技術者アーノルド・フルトン氏がロンドン東部の小さな工場で始めた老舗レイングッズメーカー「FULTON(フルトン)」。その代表作である個性的なドーム(鳥かご)型の透明傘「Birdcage(バードケージ)」は1967年に発表されて以来、ブランドの象徴として広く愛されています。その開発背景には、エリザベス2世の母、エリザベス王太后から娘へと受け継がれてきた「雨の日であっても出迎えてくれた皆に、私の姿をクリアに見てほしい」という想いが反映されていると言われています。その後もエリザベス2世の公務で寵愛され続け、2008年にはロイヤルワラントの栄誉に。「いかなる天候でも手にした人を明るく包み込みたい」というその矜持は、女王のみならず今も世界中の淑女たちをも魅了してやみません。

【LAVENHAM/ラベンハム】~乗馬を嗜む女王の姿を見て…

ホースブランケットから生まれた「DENHAM」

 1969年、当時エリザベス2世の女官であった創業者のミセス・エリオットは、ジュート麻のホースブランケットで乗馬を嗜む女王の姿を見て「もっと保温性や吸湿性にすぐれたブランケットがあれば、もっと快適にお愉しみいただけるのではないだろうか」と思いつき、彼女のためにナイロンキルティングのホースブランケットを開発します。同年、「LAVENHAM(ラベンハム)」というブランドを冠し、そのブランケットが商品化されると乗馬愛好家の間で話題に。1972年には、ブランケットの丈夫さと温かさに惚れ込んだ彼らの熱意により、愛馬とお揃いで愉しむ「キルティングジャケット」が発売。ロングセラーとして今も広く愛されています。

【Barbour/バブアー】~女王に長く愛された「一着」

ワックスジャケットの名作「BEDALE」
王室御用達の中でも珍しい「三冠」ブランド

 1974年にエジンバラ公、1982年にエリザベス2世、そして1987年にはチャールズ皇太子と、数ある英国王室御用達ブランドの中でも珍しい3つのロイヤルワラントの栄誉にあずかる名門「Barbour(バブアー)」。特に女王は、実に四半世紀以上にわたり、一着のワックスドジャケットを愛用し続けていたも伝わり、御用達の粋を超える「御愛用」品でもありました。女王のサイズには少しビッグシルエットとも言えるジャケットに、タータンチェック柄のスカートとヘッドスカーフを合わせたアウトドアルックはあまりに有名。その「愛」は息子であるチャールズにも受け継がれており、彼もまたバブアーの愛好家として広く知られています。

歴代の女王や国王に寵愛されたロイヤルワラントたち

 英国王室御用達の歴史は古く、その始まりは実に12世紀のヘンリー2世にまで遡ると言われています。日本の皇室、そしてデンマーク王室に次いで世界第3位の長い歴史を持つ英国王室。折々の女王や国王に愛され、今なお伝統を堅持し輝きを失わない、栄光のロイヤルワラントをご紹介します。

【DENTS/デンツ】~歴代女王が耽溺した「シークレットフィット」

ヘアシープ(写真)をはじめ、最高級の革を贅沢に採用
1777年に名工ジョン・デント氏が創業

 1777年に名工ジョン・デント氏が英国ウスターシャー州にて創業後、王室御用達としてヴィクトリア女王やエリザベス2世ら歴代のクイーンにも寵愛されてきた、高級革手袋の老舗「DENTS(デンツ)」。1組16パーツを32工程により手縫いで製造しているとされる強靭で美しい革手袋は、その極上の着け心地が「シークレットフィット」と称賛されるほどに、紳士淑女の嗜み品として世界中で広く親しまれています。

【BURBERRY/バーバリー】~あのチェック柄はエリザベス2世も愛用。

このタータンチェック柄はあまりにも有名
近年はブランドの「モダナイズ」化も進む

 1920年代に初めて採用されたと伝わる通称「バーバリーチェック」が有名な「BURBERRY(バーバリー)」もまた、エリザベス2世が愛用していたアイテムのひとつです。1919年にジョージ5世から初めてロイヤルワラントを授与され、その後1995年にエリザベス2世、1989年にチャールズ皇太子と、歴代で3つの称号を獲得。2022年9月の女王逝去に際しては公式インスタグラム上で追悼のメッセージを送っています。

【JOHN SMEDLEY/ジョンスメドレー】~門外不出にまでなった寵愛品。

シーアイランドコットン製の半袖ニット「EVELYN」
シルクのように艶やかで、カシミヤのようになめらか

 古くは16世紀、英国による西インド諸島領有を機に王室へ献上された際、そのあまりの美しさに当時のエリザベス1世が「門外不出」にしたとも伝わる「幻の綿」、シーアイランドコットンを用いた「JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)」のニット。2013年にエリザベス2世から、そして2021年にはチャールズ皇太子から授与。女王自ら工場を訪問するなど、王室との結びつきの深いブランドのひとつです。

エリザベス2世「御用達」の今後は?

 ロイヤルワラントは授与した人物が逝去すると無効になるため、エリザベス2世が認定したブランドも慣例に基づけば今後はその紋章を外さなくてはならなくなります。但し、逝去後2年間の「猶予期間」が与えられているため、暫くは目にするかと思いますが、残念ながら彼女の紋章を湛えた新作たちはまもなく市場から消えていく運命にあります。

 しかしその栄光はこれからも色褪せることなく、人々のもとで永遠の「名品」として輝き続けていくことでしょう。

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日々の暮らしの中で少しだけ“リュクス”な気分になれるようなコト・モノ・知識をお届けしています。
現在、メンバーは【羽】、【山】、【土】、【橋】の男女4人。増員予定あり。

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