高級ブランドのバッグや財布、小物などでよく見かけるあのロゴやモチーフ。普段何気なく目にしているけれど、その意味や由来を訊かれると意外に「・・・?」なことも。今回はアルファベットで構成される「イニシャルロゴ」でよく見かける4つについて、ちょっとだけ深掘りしてみました!
世界初のデザイナーズイニシャルロゴ「GG」(GUCCI)
その由来は、尊敬する「父親」の名前から。
いわゆる高級ブランドが提案するアルファベットのイニシャルロゴ、その象徴とも言えるのがGUCCI(グッチ)の「GG」ロゴ。
その起源は1960年代、創業者であるグッチオ・グッチの息子アルドが、父のイニシャル「GG」を商品にデザインしたことに由来し、これが世界で初めてデザイナーのイニシャルをデザイン化した事例とされています。その後、オリジナルGGキャンバスにポリウレタン加工を施し耐久性を強化した「GGスプリーム」や、70年代にベルトのバックルとして用いていたデザインから着想を得て作られたヴィンテージライクな「GGマーモント」など、数多くの派生ラインも誕生。
シンプルながらひと目でそれとわかる視認性の高さは、世界の名立たるメゾンの中でも特筆すべきものと言えるでしょう。
新時代のバーバリーを象徴する「TB」(BURBERRY)
「革命児」より、「創業者」に敬意を込めて。
2018年、チーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したばかりのリカルド・ティッシが発表し、BURBERRY(バーバリー)初のモノグラムモチーフとして世界中で話題となった「TB」ロゴ。
この「TB」はバーバリーの創設者であるトーマス・バーバリーのイニシャルを示すと言われており、ファーストカラーでは、伝統的なバーバリーチェックから着想したベージュ×オレンジ×黒を採用。ロゴに曲線のふくらみをつけたブリティッシュテイストなアレンジには、英国文化とブランドが培ってきたブランドの歴史へのリスペクトが込められています。
「TB」ロゴの誕生を契機に、新たなファン層の開拓にも成功したバーバリー。新時代の姿を象徴するモダンなデザインは今や多くの派生パターンが生まれ、ファンに愛される存在となっています。
カール・ラガーフェルドが生み出した「FF」(FENDI)
「F」はフェンディのF…だけじゃない!?
FENDI(フェンディ)のアイコンである「FF」ロゴは、1965年にファッションデザイナーとして著名な、かのカール・ラガーフェルドが生み出したとされています。
実はこの「F」、フェンディの「F」ではなく、ブランドを象徴するファー素材から着想した「FUN FUR」というフレーズから生まれた、と言われています(諸説あり)。当初はジャカードやトランクのライニングなどに使われていたFFロゴはその後注目度の上昇とともに、様々なアイテムへと派生、1970~80年代には一大ブームになりました。その後、度重なるグラフィカルな変遷を経て、最近では1974年のアーカイブを現代風にアレンジした正方形のFFロゴも人気が再燃することに。
時代とともに変化を遂げつつも、そのデザインの秀逸さは変わることなく、今も燦然と輝き続けています。
デザイン界の巨匠から贈られた「YSL」(SAINT LAURENT)
イヴ・サンローランの「Y」「S」「L」をデザイン
サンローランと言えばこの「YSL」ロゴ。このデザインを生み出したのは、20世紀初頭のアール・デコを代表するアーティストであり、ポスターデザインやタイポグラフィでも著名な芸術家、アドルフ・ムーロン・カッサンドルでした。
1963年、既に一時代を築いていた巨匠は、親子ほど歳の離れたある「友人」から新たなロゴデザインの依頼を受けます。その友人の名は、イヴ・サンローラン。のちの「モードの帝王」も当時は2年前にメゾンを立ち上げたばかりの無名の新人でした。そんな彼にカッサンドルは「Yves Saint-Laurent」から3文字を組み合わせ、今も世界中で愛される「YSL」ロゴを贈った、と伝えられています。
カッサンドルの先見の明の通り、その後のサンローランの活躍はもはや説明不要。若さと自由を標榜した彼のコレクションはファッションの近代化に多大な影響を与え、その志は「YSL」ロゴとともに新たな世代へと受け継がれています。